皿うどんと夕暮れ
今日もママチャリで爆走する。愛車の電動自転車だ。雨よけの箱型のカバーを子が乗るところにつけているのだけど、これがデカイ。とにかく圧がある。小さめの小屋を運んでいるような気持ちになる。
普通に走っているなら気にならないのだけど、狭い道で誰かとすれ違う時は「おっと、小屋が...失礼」と申し訳ない気持ちになる。後ろに付いているからそのデカさを忘れてしまうのよね。
先日、保育園のお迎えを済ませ子を乗せて家路を急いでいた。家までの道に狭い道がある。その道だけは誰かとすれ違いたくない。いつも「来てくれるな」と心で念を唱えながら通るのだけど、パッとみたらお爺さまが前から来ているではないか。しかも、夕暮れ時と言うのにタモさんばりの真っ暗のサングラスをかけていた。
こ、こわい!!!
「邪魔なんだよっ!!」「どけよ!」とか言われてツバでも吐かれたらどうしよう。
サングラスから視線をおろし、カゴを見ると剥き出しで皿うどんと2リットルのペットボトルの水が入れられていた。
普通に過ごしてて、果たしてこの2品だけを買って帰りたい日はくるのだろうか。私にはなかった。ファンキー。自分の欲に素直なんだわ。今日この瞬間、皿うどんが食べたかったのだろう。
私がカゴに釘付けになっていると、ファンキーお爺さんはすれ違いざま、ビックリするぐらい穏やかに「ごめんね〜」と言いながら通り過ぎて行った。こちらが明らかに邪魔だろうに。
小さくなったお爺さんの後ろ姿を見ながら、やっぱり人は見かけで判断してはいけないとしみじみ思った。
今日、皿うどんにしようかな。とりあえず水2リットル買うか。